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2章 10

Author: 深田あり
last update publish date: 2026-07-08 20:10:47

 その後、自室に戻った俺はベッドの上にあぐらを?き、腕を組んで思案する。

「さて、明日は聖子が休みなのか。色々してくれるってわけだな」

 一体あいつは何をするのだろうか? 明日は土曜。半ドンだ。昼からは俺も協力できそうだ。何とか七岸さんのサトラレ征伐を成功させんとな。告白するためにも!

 俺はもう七岸さんじゃないとダメだ。だが問題は鈴子さんだ。というか鈴子さん、あれどうすればいいんだ。既成事実を作らされちまった。どうにかしたいが、どうにもならない。鈴子さん問題が巨峰のようにそびえ立つ。

 と、壁に掛けられている時計を見ると十一時になろうとしていた。そんなに考えていたのか。いかん。もう寝よう。

「考えたってまとまるもんじゃないからな。寝よう! 俺は寝る! んがー!」

「眠れなかったよ!」

 俺がまさかこんなに神経質な人間だとは思いもしなかった。

「いかん! 不眠は美容の大敵だというのに! このままでは俺の美しい顔にシミが出来てしまう!」

 慌てて鏡を見ると、恐るべきことに目
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  • サトラレメイド   4章 4

     俺は毛布を探し、聖子は子守歌を歌う。さつきさんを寝かせるためだ。 だが、それを阻止するように、さつきさんが手を伸ばし、俺のマントを掴んできた。ぎゅっと。 「う……ぁ……」 「あ、さつきさん! 起きちゃダメだよ。寝てないと!」 「誠二さん、岡山を通過したわ! 勿論止まらせない!」 「よし、機関夫と火夫にはこのまま不眠不休で働いてもらえ!」   我ながら凄まじく無茶な命令だと思う。しかしやむを得ない。死んでも働かせる。大和魂を見せつけろ、火夫!   しかし鈴子さんは強く首を振った。 「でも、遠すぎるわ。関東まではもたないわ。電車は何度か乗り換えるから石炭は足りると思うけど、流石にぶっ通しで働かせたら、倒れてしまう!」 「く……どうにかして交替させないとダメか!」   人間は機械ではない。無理に働かせても限界が来たら倒れてしまう。当然の摂理。   と、聖子が俺の手を握ってくる。彼女の顔は真剣そのもので、凜々しさすら伝わる。 「兄者。兄者は頭がいいよね? 一高生だもんね。この前の試験でも七位だったし」 「ん? いきなり何だ?」 「そして、体力もあるよね? そのたくましい筋肉! 素敵すぎるよ!」  「なるほど、よし、わかった。俺が火をくべる! 火夫をしばらく寝かす!」   そうだ、この手があった。俺は魂! 柔道も嗜んでいるし、体力には人一倍自信がある。今が岡山だから、十五時間くらい火をくべれば東京につくか?  楽勝だ。   俺はすっくと立ち上がり拳を震わせる。それを見て聖子がぱちぱちと拍手を。 「それでこそ兄者だよ! あたしは七岸さんのお世話をするから!」 「頼んだぞ!」   俺は元気よくそう告げると、全力疾走―― 「ま、待ってください」   しようとして、さつきさんが何故か止めに入った。   どうして寝ていてくれないんだ。多少の苛立ちが俺を襲う。依然、脳をえぐる念波はピリピリと俺たちを攻撃しているからなおさらだ。 「さつきさん! ダメだよ、寝ていて。俺たちが必ずなんとかするから。なあに、体力には自信がある。今

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  • サトラレメイド   3章 14

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  • サトラレメイド   1章 7

     俺は一端土間を出て、外の空気を吸う。もう空は真っ暗で満天の星々がきらきらと輝いている。月は少し欠けているな。   肌をえぐるような凍てつく寒さが俺の全身にまとわりつくが、不思議と不快ではなかった。冬の透徹した空気が俺の肺に入り込む度に心が洗われるよう。   夕飯まで外で体操でもしようか。そう思って屈伸を始めた時、がちゃりと音を立て、七岸さんが出てきた。もう出来たのか? いや、手に何か持っている。円筒状の物体だ。 「あ、七岸さん。それは?」 「見てわかりませんか? 目が腐ってるんですか? クズ野菜などのゴミ出しです。これは裏に置いておけば

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  • サトラレメイド   1章 サトラレメイドに恋をして 1

     いくたびも、雪の深さを、尋ねけり。   正岡子規が読んだ句の通り……と言うには雪などこれっぽっちも降っていないし、にこやかな晴天が空を覆い尽くす十二月上旬の東京市。   本郷区向ヶ丘に居を構える第一高等学校の廊下で、俺は先日のテスト結果が張り出された紙を眺めながら盛大に高笑いしていた。 「はーははっははっはは!」   市川誠二の名前が七番目に記されている。つまり七位だ。試験一週間前から睡眠五時間で勉強し続けた甲斐があったと言えよう。周囲の学生たちがぎょっとした目でこちらを見るが、俺は全く気にしない。 「んー、快調快調。よっしゃ、次は五位

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